室内の境界の形態係数および放射熱伝達率¶
1 はじめに¶
本節では、「室内の境界の形態係数および放射熱伝達率」で用いられている式の導出方法について記す。
2 記号及び添え字¶
2.1 記号¶
この計算で用いる記号及び単位を次に示す。
記号 |
意味 |
単位 |
|---|---|---|
\(a_i\) |
面の面積の合計に対する面 \(i\) の面積の比率 |
- |
\(A_i\) |
面 \(i\) の面積 |
m2 |
\(A_j\) |
面 \(j\) の面積 |
m2 |
\(f_i\) |
微小球から面 \(i\) をみた形態係数(微小球から射出された放射が面 \(i\) に到達する割合) |
- |
\(g_i\) |
放射吸収係数(微小球から射出された放射が面 \(i\) に到達する割合) |
- |
\(g_{ji}\) |
面 \(j\) から面 \(i\) への放射吸収係数(面 \(j\) からの放射が面 \(i\) で吸収される割合) |
- |
\(h_{r,i}\) |
面 \(i\) の放射熱伝達率 |
W / ( m2 K ) |
\(J_i\) |
面 \(i\) の射度(ラジオシティ) |
W / m2 |
\(M_i^{\circ}\) |
面 \(i\) の黒体の場合の放射発散度 |
W / m2 |
\(M_r^{\circ}\) |
平均放射 |
W / m2 |
\(q_i\) |
面 \(i\) からの放射による熱流量 |
W / m2 |
\(T_i\) |
面 \(i\) の表面温度 |
K |
\(T_j\) |
面 \(j\) の表面温度 |
K |
\(T_r\) |
平均放射温度(微小球の温度) |
K |
\(\bar{T}\) |
平均放射温度 |
K |
\(\beta_i\) |
面 \(i\) の反射率 |
- |
\(\varepsilon_i\) |
面 \(i\) の放射率 |
- |
\(\sigma\) |
ステファン・ボルツマン定数 |
W / ( m2 K4 ) |
2.2 添え字¶
この計算で用いる添え字を次に示す。
添え字 |
意味 |
|---|---|
\(i\) |
面 |
\(j\) |
面 |
3 室内の境界の形態係数および放射熱伝達率の導出¶
室内表面における放射熱伝達の計算は、次式のように表される。
この面 \(j\) から面 \(i\) への放射吸収係数 \(g_{ji}\) はGebhartの放射吸収係数 1 とも言われ、面の幾何情報に基づいた形態係数、面の放射率・反射率により計算される。しかし、熱負荷計算では幾何情報までは与えられず、面積情報のみが与えられることが多い。 そこで、簡易的な評価手法として、放射吸収係数を室の全表面積に対する面積比で近似する手法が取られることが多い 2 。 この方法は、ある面と他の面との放射による熱のやりとりを扱う時に、他の面の温度が平均放射温度となるため計算が格段に簡単になるという利点がある。 一方で、面積の加重平均を取る際に、対象とする面自身の面積もそこに含まれるために、自己形態係数が0にならず、「床暖房や天井放射冷房などでは大きな誤差要因となってしまっている。」ことが指摘されている 3 。
そこで、永田の方法 3 に基づいて、総和則・相反則を満たしつつ、自己形態係数が \(0\) となる近似解法を採用する。 文献 3 によると、室の中央に微小球を想定し、その平均放射 \(M_r^{\circ}\) は次式で表される。
自己形態係数を \(0\) という条件を課した場合の微小球から面iをみた形態係数 \(f_i\) は、
を満たす適当な係数 \(\bar{f}\) を定めると、次式で表すことができることが示されている。
係数 \(\beta_i\) は次式で表されることが示されているので、
この式に、\(f_i\) を代入すると、次式が得られる。
面 \(i\) における熱流量 \(q_i\) は次式で表され、
平均放射は次のように定義されるため(面 \(i\) とは異なる面の重みづけのため添え字を \(j\) とした)、
面 \(i\) における熱流量 \(q_i\) は次のように変形できる。
とした。また、放射の計算を扱いやすいように、次のように平均放射温度を用いて近似した。
平均放射温度については、
の関係があるので、これに、
を代入すると、
となる。
永田の方法に基づいて、まず式(3)及び(4)を用いて微小球から面 \(i\) をみた形態係数 \(f_i\) を定め、 微小球と面 \(i\) との放射熱伝達率 \(h_{r,i}\) を式(12)より求める。 微小球の温度は各面の温度と式(16)で求まる重みを用いて計算する。
10 注¶
Gebhart:A New Method for Calculating Radiant Exchanges, ASHRAE Trans. Vol.65, 1959.
松尾陽:空調負荷計算におけるふく射熱の取り扱い, 空気調和・衛生工学, 59-4, pp.323-329, 1985.
長田明寛:室内長は放射交換の簡易モデリング, 日本建築学会大会学術講演梗概集, 2016.8